石徹白暮らし体験談 民宿 上村彦左衛門 女将さん
- 第四号:2010年4月

民宿、上村彦左衛門さん。

石徹白に来られたことがある方であれば、集落までの道々に「上村彦左衛門」という看板を見たことがあるのではないでしょうか。

今回は、石徹白にお嫁入りされてから○十年・・・。民宿を切り盛りされている女将さんにお話を伺いました。

―――上村彦左衛門さんという民宿は、いつ始められたんですか。

私の義母が始めたの。まだ石徹白にスキー場がない頃という話だけど。昔は今みたいに除雪がここまでちゃんとされないから、お客さんは県道沿いに車を置いて、そこから歩いてここまで来てもらったのよ。

―――そうなんですね。今はこんなに雪が深くても車で走るのに不便ないくらい、きれいに除雪されますもんね。

「できるだけ手をかけたものを出したくて」

―――女将さんは、民宿で地元の食材をつかったお料理を出されていますよね。山菜とかお魚とかお野菜はどうされているんですか?

今はね、もうあんまり採りに行ってないんやけど、山菜採りはよく行きました。そこらへんの山とかね、田んぼの畦とかでね。

―――どんなものがとれるの?

ありきたりと思うけど、ゼンマイ、コゴミ、タラノメ、ワラビ、ウド、フキ、フキノトウとかかな。ヨモギはヨモギもちに。

―――女将さんがつくられる、フキノトウの味噌和え、大好きです!

ははははは。珍しいねぇ、そういうもん好きな人は飲める人が多いのよ。今の若い人は好きなのかしら。

魚は、うちの主人が釣って来てくれるから。釣って、水槽に入れて育てるのが主人の仕事で、私はそれをさばいて料理するのが役割。

―――夏になると、外にある水槽が魚でいっぱいになりますよね!釣りの名人なんですね!

釣りが好きでね。アマゴとかイワナとか釣ってくれますね。野菜や米はうちでつくっているから、そういうのを使います。

―――どれくらいの種類をつくってるんですか?

できるものはすべて。春から秋にかけてだと、どうだろ。エンドウ、ナタマメ、ジャガイモ、ナス、キュウリ、トマト、オクラ、トウモロコシ、ダイコン、ハクサイ、ニンニク・・・・エゴマや大豆はお義母さんが専門。

―――すごい!私もそれだけたくさんつくってみたい!

できるわよー。自分で育てると毎日見に行かずにはいられなくなるの。子供を育てるのと一緒で毎日の成長がとっても楽しみ。ははははは。

薪風呂のわけ

―――あ、あと、こちらは薪でお風呂を焚いていらっしゃいますよね。

そう、薪で焚くと本当に温かくて。灯油だけで焚くよりも、出た後にまで温かさが残って、身体が楽なのよね。今、薪で焚いているところ、石徹白の中でもほとんどないんじゃないかしら。薪風呂に必要な消耗品も、もう売ってないから、どうしようって思っているの。

―――薪風呂を使う人がもうあんまりいないから?

そう、風呂桶の底に敷く板とかね、煙突を掃除する道具とか。

―――薪はどうされてるんですか?

これも、主人が山を整備したときの折れた木だとかを、もったいないからって割って薪にしてくれるの。たぶん、何年分も焚けるくらいまだあると思う。

―――すごいですね!初めて薪風呂入らせてもらったとき、感激しました!ずぅっと温かくて。

そうでしょう。薪風呂はやめられないわ。あ、そうそう、ハクサイ持ってく?

―――えっ、いいんですか???

(離れの食糧庫(?)にはたくさんのハクサイやダイコンがごろごろと貯蔵されていてびっくり!石徹白の人は雪が降る前に育てた野菜をこうして保管されているんですね。結局、ハクサイを3玉、ダイコンを4本もいただいてしまいました・・・。ありがとうございました!!!!)

<感想>

私も、女将さんみたいになんでもつくれて、それをおいしく料理できるようになりたいなと思います。まずは野菜づくりと、旦那さまには魚釣りを覚えてもらわなくては!

聞き手:平野馨生里

<おまけ>

女将さんの義弟さん(女将さんの旦那さんの弟さん:上村武住氏)は、石徹白の歴史にまつわる本を出版されています。石徹白に関して興味のある方はぜひぜひご一読ください!

石徹白社人騒動 宝暦郡上一揆外伝 (発行:ブイツーソリューション 2007 ¥2940)

http://www.v2-solution.com/booklist/978-4-434-10596-8.html

白山幻想録 石徹白夜話 首無しボテン(発行:同上 2009 ¥2940 )

http://www.v2-solution.com/booklist/978-4-434-13658-0.html